Restorations
#01
RENAULT R5 TURBO 2 PROJECT
レストア対象車のルノー5ターボIIは、ベルトーネのマルク・デシャンとマルチェロ・ガンディーニによって設計され、1980年1月のブリュッセルモーターショーでデビュー。
エンジンは1,397cc水冷直列4気筒OHVのC6J型という小排気量のものだったが、燃料系をボッシュ製Kジェトロ、ターボチャージャーをギャレット製タービンに変更し、空冷式インタークーラーで武装した事により最高出力162PS、最大トルク22.5kgfm迄引き上げられた。標準モデルの5と比較してパワー+1.5、トルク+3.3という大幅なパワーアップを遂げた。
当然シャシーやボディにも大幅な強化が施された。特にワイドタイヤを装着するために拡げられた前後のフェンダーは、このクルマに圧倒的な迫力を与えることとなった。さらに、リアゲート上部には大きなエアスポイラーがつき、フロントにも大型のエアダムが与えられた。
こうした大改造の結果、970kgのボディが生み出すパフォーマンスは、最高速度200km/h、0-400m加速15秒、0-1000加速28秒という驚異的なものとなった。R5 Turboは同年のコルシカでWRCデビューし、翌年のモンテカルロで初優勝を遂げた。以後、数々のイベントで猛威をふるい、ルノーの名をWRCに焼き付けたのである。
そしてこのマシンを0から仕上げるべく、スケルトンの状態から、はたしてどの様な仕上がりとなるのか。
ご覧のとおり、フランスのラリーの小さな伝説は、必要最低限の部分まで取り除かれています。フロントから始めるとエンジンがないことに気づくでしょうが、それはルノーが標準の 5 アルピーヌを 5 ターボに改造した1980年にエンジンがトランク内に移動されたためです。フロントパネルはボルトで固定されていますが、リアパネルはオリジナルのボディにエポキシ接着されており、取り外すには熟練した手術が必要でした。 R5ターボのアーチがオリジナルのルノー5アルピーヌのボディからどれだけ突き出ているかがわかります。
ルノーは世界ラリー選手権に出場したいと考えていたため、いくつかのロードカーを製造してホモロゲーション要件を満たす必要がありました。グループ 4 のホモロゲーションにはわずか 400 台しか必要ありませんでしたが、この車の人気は非常に高く、R5 ターボの開発期間中に合計 4,857 台が製造されました。そのうち 1,690 台がオリジナルのターボ (1) モデルで、残りの 3,167 台がターボ 2 でした。 1980年から6年間かけて生産されました。グループ 4 向けにまったく新しい車、ストラトスを製造したランチアとは異なり、ルノーは既存のモデル、ルノー 5 アルピーヌ ホットハッチをベースにして 5 ターボを開発しました。このモデルが前輪駆動であり、R5 Turbo は後輪駆動である必要があったことを考えると、かなりの偉業です。
後輪を駆動するのは、ボッシュ K-ジェトロニック燃料噴射装置とギャレット AiResearch T3 ターボチャージャーを備えたミッドマウント 1.4L クレオンフォンテ エンジンでした。総じて、6,000rpmで158馬力、3,250rpmで163ポンドフィートを発生し、小型の4気筒としてはまともな数値であり、重量がわずか970kg(2,138ポンド)の車ではかなり強力でした。競技仕様では、エンジンは当初265馬力を発生しましたが、究極のR5マキシ ターボ形式では 345馬力まで高められました。ルノー5ターボは、1981年のモンテカルロ (アウディ クワトロの最初のイベント) で優勝し、世界ラリーで初期の成功を収めましたが、後年には、グループ Bがもたらした四輪駆動の武器の力には太刀打ちできませんでした。